よく『写真にはテーマが必要』といわれます。
テーマとは、いわゆる『伝えたいこと』で、写真に限らず、何かを表現する上で欠かせない要素としてよく挙げられる言葉です。
・・・が、実際に『自分の写真のテーマはなんだろう』『自分が写真で伝えたいことってなんだろう』と考えてみると、はっきりとした答えが出ないという方も多いかと思います。
また、写真を撮り始めてけっこう経つのに、『自分の写真にはテーマがない・・・』と悩んでいる方もいるかと思います。
そこで、今回は『写真にテーマは必要か』と題して、写真のテーマについて考えていきます。
「テーマ」という言葉
わたしたちは「テーマ」という言葉に対して、難しく考えてしまうところがあります。
たとえば、自分が直感で撮った写真に対して、『この作品のテーマは?』『写真を撮る上で、何をテーマにしていますか?』などと聞かれたらどうでしょう。
大まじめに聞かれるほど、「いや、なんとなくいいと思ったから・・・」とは言いづらくなり、なんだかちゃんと答えないといけないような気になってきます。
また、机に向かって『写真のテーマを決めよう』と考え始めると、なぜか
- 失われていく風景
- 人間模様
- 命について
- 社会問題
などなど、おおよそ自分らしくないものばかりが浮かんでくることがあります。
これには次のような理由があります。
テーマにふさわしい「言葉」や「題材」を選んでしまう
わたしたちは「テーマ」といわれると、ついそれにふさわしい言葉や題材を選んでしまう傾向があります。
- 「テーマは何ですか」と聞かれたら、つい『テーマという言葉にふさわしいフレーズ』を探してしまう。
- テーマを決める時は、つい『テーマという言葉にふさわしい題材ばかり』を探してしまう。
そう、「テーマ」という言葉のイメージに引っ張られてしまうんですね。そこから生まれたものは、言葉を整えれば整えるほど、『自分が撮りたいと思った理由』からかけ離れていきます。
「なぜ撮りたいと思ったのか」で十分
写真のテーマというのは、いわば「撮る理由」の中の1つです。
- たのしいから撮る
- 撮ることが好きだから撮る
- 心に響くものがあったら撮る
- 伝えたいことがあるから撮る
- こだわりたいことがあって撮る
上に挙げたものはどれも正解であり、どれも間違いではありません。このうちの下2つが、おそらく多くの人が考える「テーマを持って撮る」でしょう。
つまり、「写真にはテーマが必要」というよりも、「『テーマを持って撮る』方法もある」と考えるほうが自然です。作品作りも然りです。
言語化するメリット
作品を作る際は「テーマ」という観点ではなく、「なぜ撮りたいと思ったのか」を言語化するといろいろなメリットがあります。
「なぜ撮りたいと思ったのか」は、単純な理由でOKです。たとえば「かわいいと思ったから」でも立派な答えです。作品に生かす際は、これを掘り下げていきます。
ねこの足を例にするなら
- 特にどこがかわいいのか?(例:肉球)
- どんな風にかわいいのか?(例:やわらかそう、色がかわいい)
と言語化してみると、撮り方の方向性がみえてきます。
すると、この場合は
- ねこの「肉球」を「やわらかそう」に、「色がかわいく」みえるように撮る
といった感じで撮れば、「自分が撮りたいと思った理由」が形になります。
また、作品が物足りないと思ったときも、このように「なぜ撮りたいと思ったか」を言語化してみると、原因を探しやすくなります。
また、このように言語化していくと、次第に自分の撮り方の傾向や、好きな題材がみえてきます。そこから、自分の作品のテーマを発見できることもあります。
まとめ
今回は『写真にテーマは必要か』と題して、写真のテーマについて掘り下げていきました。よかったら参考にしてみてくださいね。