今回は写真のトリミングがテーマです。
トリミングとは、画像を切り抜く加工のことです。
写真の場合は
- 画面の端に余計なものが写ってしまった
- 被写体をもう少し大きくみえるようにしたい
といったときによく使われます。
こうした場合は写真の周囲をカットすると、必要な部分だけがみえるようになり、写真がいい雰囲気になります。
トリミングは写真の加工では最も手軽で、よく使われる方法です。
さて、このトリミング、写真を撮っていると不思議に感じることがあります。
トリミングの不思議
現場で撮ったときは「トリミングなしで大丈夫」と思った写真が、家に帰ると「いや、これはトリミングしたほうがいいぞ」と感じることがよくあります。
現場でどれだけフレーミングに気をつけていても、発生する現象です。
たとえば、
- 現場でベストだと思うフレーミングができた
- カメラのライブビューやモニターで確認しても問題なし
と感じる写真が撮れたとします。
が、家に帰ってから、その写真データをパソコンで確認すると印象が変わることがあります。
- あれだけフレーミングにこだわったのに、全然甘いじゃないか
- これぐらいトリミングしたほうが、もとの写真よりも断然よくなるぞ
など、現場ではベストを尽くしたはずなのに、家では違った印象を受けてしまうことがあるのですね。
なんとも不思議な現象です。
不思議なことはもう1つあります。
それは、その写真データをあらためてカメラのモニターで確認をすると、「悪くはない」のですね。現場での印象と同じで、トリミングの必要性を感じなかったりします。
では、この感覚の違いはなぜ起こるのでしょう。これにはいくつかの原因があります。
「どこから切り取るのか」ということ
まずは、「どこから切り取るのか」という点についてみていきましょう。
写真を撮ることは、よく「目の前に広がる風景を切り取る」といった例えられ方をします。
つまり、目の前にある世界を、カメラ(あるいはレンズ)を使ってトリミングしているわけですね。
広い景色から「これだ」と思う部分を切り取ることが撮影ともいえます。
つまり、撮影をした時点でトリミングをしているわけですね。
それに対して、写真の加工で行うトリミングは、みえている世界が「その写真に写っている範囲だけ」です。
そう、「どこから切り取るのか」の前提が違うわけですね。
- 撮影時:目の前に広がる世界から切り取る
- 加工時:写真に写っている範囲から、切り取りが必要かどうかを考える
そう、前提が違うのですから、トリミングの感覚が変わってくることもあるというわけです。
また、忘れてはいけないのは、撮影時のことです。
撮影時には、目の前に広がる世界を
- カメラのモニターのサイズ(あるいはファインダーからみえる像のサイズ)に切り取っている
という点です。
いわば、手のひらサイズの画像に切り取っているわけです。この「サイズ」という点も非常に重要です。
次回に続きます。