カメラやレンズには「防塵・防滴」性能がついているものがあります。
「防塵防滴」とはその名の通り、カメラやレンズの内部にホコリや水滴が入るのを防ぐもの。
砂埃の多い場所や、水滴のつきそうなシーンでは重宝します。また、霧やちょっとした雨なら大丈夫というありがたさがあります。
今回は「防塵防滴」についてくわしくみていきます。
防塵防滴として使うには
ボディとレンズの両方をそろえる
「防塵防滴」性能は、機材の内部にホコリや水分が入るのを防ぐためのものです。
ですので、ボディとレンズの両方が「防塵防滴」でないと意味がありません。
画像引用:OLYMPUS OM-D E-M5 MARK II
どちらか片方だけが対応していても、機材の接続部分からホコリや水が浸入してくる可能性があるわけですね。
ですので、防塵防滴として使うには、カメラとレンズの両方が防塵防滴になっている必要があります。また、フラッシュなどの接続する機器を使うのであれば、それも防塵防滴のものを。
防塵防滴で使うのであれば、こうした点に注意が必要です。
防塵防滴はどこまで大丈夫?
さて、肝心の防滴性能ですが、通常、その機材のカタログや注意書きにある範囲での使用であれば問題なく使えます。
注意書きを確認
たとえば、このような注意書きがされています。
画像引用:PENTAX-K70
画像は、悪天候や過酷な環境でも使えるカメラとして売り出されているK-70のものですが、「故障の原因になりますので雨や水滴が付いたときは、よく拭いて乾かしてください」と書かれています。
簡易防滴
また「簡易防滴」という表現がされるものもあります。
画像引用:smc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WR
防滴はされているけれど、あくまで簡易ということですね。
こうしたタイプのものは、極端に水がかかる場面は避けたほうが安心です。
機種のクラスで差がある?
画像引用:PENTAX-K70
ちなみにカメラの防塵防滴性能は、機種のクラスによって差があるといわれています。
上級機になるほどより強固になるというわけですが・・・具体的な形では公表されていないので、よくいわれている話でもあります。
具体的な性能は・・・
さて、ここで問題なのが「具体的にどこまで大丈夫なのか」ということです。実はこれ、非公開のものがほとんどです。
なので、カタログや注意書きが基準になるわけですが、それではあまりにさびしいので、おおよその目安を考えてみましょう。
保護等級から考える
防塵や防水の性能を表す基準に「保護等級」があります。
「IEC(国際電気標準会議)」によって定められている規格で、「IP○○」というものですね。それぞれの数字が大きいほど強固になります。
防水等級でみれば、5以上になると「完全防水」といわれる商品になります。だいたい4未満が「生活防水」になります。手洗いの時の水しぶきや、雨の水滴がつくぐらいなら大丈夫というものですね。
で、「防滴」はいうと、だいたい2~3あたり。「防水」よりも低い位置になります。
こうした保護等級の観点から考えると、極端な水濡れはちょっと怖いなという印象になりますね。いずれにせよ、使用後はきちんと拭くことが大切ですね。
防水の保護等級
防水の保護等級をもう少しくわしくみてみましょう。各級は次のように定義されています。
- 0級:特に保護がされていない
- 1級:鉛直から落ちてくる水滴による有害な影響がない
- 2級:鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない
- 3級:鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない
- 4級:あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない
- 5級:あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない
- 6級:あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない
- 7級:一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水することがない
- 8級:継続的に水没しても内部に浸水することがない
※「鉛直」は、水平面に対して垂直のことをいいます。重力の方向と考えるとわかりやすいかと思います。
上でも少し触れましたが、5級~が「完全防水」、だいたい4級未満が「生活防水」になります。「防滴」は2級~3級あたり。
防塵の保護等級
あわせて防塵の保護等級もみてみましょう。
- 0級:特に保護がされていない
- 1級:直径50mm以上の固形物が中に入らない(握りこぶし程度を想定)
- 2級:直径12.5mm以上の固形物が中に入らない(指程度を想定)
- 3級:直径2.5mm以上のワイヤーや固形物が中に入らない
- 4級:直径1mm以上のワイヤーや固形物が中に入らない
- 5級:有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らない(防塵形)
- 6級:粉塵が中に入らない(耐塵形)
こちらもカメラでは非公開なので推測になりますが、「防塵形」近辺だと考えられそうですね。
防塵防滴という言葉
カメラやレンズは「防塵防滴」という言葉が独り歩きしやすい点があります。
特に防滴については「雨の中でも撮影ができる!」「どんなに濡れても大丈夫」というイメージを持たれがちです。
が、あくまで「防滴」であって「防水」ではないのですね。利用できるのは、カタログの注意書きや説明書にある範囲になります。
・・・注意書きは小さく書いてあったりしますので、気をつけたいところですね。
まとめ
今回は「防塵防滴」性能についてでした。防塵防滴は、屋外での撮影には心強いもの。使用後はホコリを払い、きちんと水滴をふきとることが大切ですね。