写真を撮っていると、「この被写体は、どんな角度や位置から撮ったらいいんだろう」と迷うことがあります。そんなときはその被写体の「どんな姿を撮りたいか」を考えてみると、答えがみつかりやすくなります。
被写体の「どんな姿を撮りたいか」を考えてみよう
花や植物を撮るときは、「きれい・美しい」または「色・形が面白い」などの外見に注目して被写体を選ぶことが多いかと思います。
が、問題はここからです。「この被写体は、どんな角度や位置から撮ったらいいんだろう」と悩む方も多いのではないでしょうか。
こうしたケースでは、その被写体を単体でみるのではなく「どんな状況にあるのか」を考えると、撮り方のイメージがしやすくなります。
その被写体はどんな状況にある?
たとえば、同じキレイな花でも
- 咲き誇る花畑の中の1本
- 道端でまばらに咲いているうちの1本
とでは、ずいぶんと印象が違います。
撮り方に迷ったときは、こうした「状況」を撮るようにしてみましょう。
被写体が「花畑の中で特にキレイに咲いている1本」であれば、そこが花畑だとわかるように撮る必要があります。
そう、この場合は花畑だとわかるような角度・位置を探せばいいわけですね。
これで冒頭に挙げた「この被写体は、どんな角度や位置から撮ったらいいんだろう」が解決します。このように被写体単体だけでなく、「状況」にも目をむけると「撮る角度や位置を探す基準」がみえてきます。
「状況」という言葉でイメージにしにくい場合は、被写体の「どんな姿を撮りたいか」と考えると感情移入をしつつ、想像しやすいと思います。
たとえばこんな撮り方
上で紹介した考え方を使った例をみていきましょう。
特にキレイな1本
「たくさんある中の特にキレイな1本」を撮るときは、状況がわかるようにメインの被写体以外のものも画面に入るようにします。
メインの被写体以外もキレイなものを入れたほうが、状況がわかりやすくなります。それぞれの距離が近くみえるほうが、たくさんあるようにみえます。
キレイなものがいっぱい
「キレイなものがいっぱい」な状況を撮るときは、ある程度の数のキレイなものが入るようにします。並んでいる様子や奥行きを意識して撮ると、それなりの数があるようにみえます。
ぼかすときは、あまり極端にぼかさないほうが雰囲気がでます。風景写真のように全体をシャープに撮るのもよい方法です。
道端できれい(あえて道を入れる)
「道端にあるキレイなアジサイ」を撮るときは、あえて道端であることがわかるようにすると、その場所でしか撮れない雰囲気が出ます。
「あえて」と書いたのは理由があります。
本来、道端のアジサイを撮るときは、「道が入らないように撮る」ことが王道的な方法です。
道を入れると
- 道の色が強くてアジサイより目立ってしまう
- アスファルトや土の道は、アジサイの色や雰囲気となじみにくい
といった写真になりやすく、なるべく入らないように撮るのがセオリーだったりします。
が、実際は、アジサイは道端でみられることが多い植物であり、「まわりは地味だけど、アジサイのところだけ華やか」といった状況も面白いところなんですね。
ですので、「あえてその状況を撮る」のもユニークな方法です。この撮り方をするときは、彩度をあまり高くしない(色をギラギラさせない)ほうが雰囲気が出やすくなります。
道端できれい(道を入れない)
「道端にあるキレイなアジサイ」を撮るときは、上で紹介したように「道をなるべく入れない」のが王道的な方法です。
まわりに地味な色のものが多い、あるいは画面に入れたくないものが多い場所のときは、アップで撮るとそれらの問題が解消します。ぼかしを大きくすると全体がマイルドな印象になります。
ただ、この方法を使うと「その場所でしか撮れない」「その場所ならではの状況」が消失します。そのかわり、「アジサイの中の特にキレイな部分」という状況をクローズアップすることができます。
困ったときに使ってみよう
今回はキレイなもの、撮りたいものをみつけたら、その被写体の「どんな姿を撮りたいか」を考えてみようというお話でした。
この考え方は、撮る位置や角度に迷ったときにとても有用です。何よりも、自分の中に基準を持って位置や角度を決められるので、「なんとなく撮る」「とりあえず撮る」が解消できます。意味のある位置や角度になる、ということですね。