写真の色を考えるときに、はずせないのが「彩度」という項目です。
彩度とは色の鮮やかさのことです。彩度が高いほど色が鮮やかにみえ、彩度が低いほど色が落ち着いてみえます。
彩度は主に次の2つの方法で調整することができます。
- カメラ本体の「設定」から調整
- 撮影後、画像編集ソフトで調整
彩度とは色の鮮やかさのことです。
さて、この「彩度」、実は扱いが難しい項目でもあります。というわけで今回は、「彩度とのつきあい方」と題して、彩度の性質と使いどころについてお届けします。
彩度とのつきあい方
写真の彩度を高くすると、色の鮮やかさが増します。
見栄えがよくなることから「とりあえず彩度を高くする」という方も多いかと思います。
このときに「彩度を高くすると何が起こるのか」を知っておくと、使いどころが考えやすくなります。
彩度を高くすると何が起こるのか
彩度を高くすると「色が鮮やかになる」ほかに次のようなことが起こります。
まずは視覚的な効果からみていきましょう。
- 色にインパクトが出て、見栄えがよくなる
- 彩度を高くするほど、色が派手にみえるようになる
- 彩度を高くするほど、色が強くみえるようになる
これらをみると、いいことばかりなように思えます。
が、実は「彩度を高くする」というのは、色の階調を大ざっぱにする調整です。
色の滑らかな変化や中間のトーンをなくして、色の変化を極端にするわけですね。だから色がくっきりとみえたり、際立ってみえたりするのですね。
階調や中間のトーンを失うことは、たいしたことのないように思えますが、実は次のようなデメリットがあります。
- インパクトは出るものの、色に深みがなくなり、飽きやすくなる
- 画面が強いトーンばかりになり、落ち着かない印象になる
彩度を高くするほど、この傾向は強まっていきます。
色に深みがなくなる、ということ
こちらの写真は、彩度をかなり高くして撮ったものです。
色がくっきりと強く出ており、インパクトのある写真にみえます。
が、色合いをみると非常に単調です。なぜなら、色の情報量が少ないからです。
彩度を高くして中間調のトーンをばっさりカットしているので、「空はこの色」「体はこの色」「カゲはこの色」といった感じで、色が単純になってしまっているのですね。
この写真は極端な例ですが、「彩度を高くする」ことには、こうした性質があります。
- 「色の情報量が減る」ため、色に深みがなくなる
- 一瞬のインパクトは出るが、飽きやすくなる
これらの点を意識すると、使いどころを考えやすくなります。
彩度についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
「彩度」と「自然な彩度」
画像編集ソフトには、「彩度」のほかに「自然な彩度」という項目がある場合があります。
「彩度」は全体の鮮やかさを調整する項目です。彩度を高くすると、画面全体の鮮やかさがアップします。
それに対し、「自然な彩度」は、主に画面内の「彩度の低い部分を調整する機能」です。
全体の彩度を均一に近づける調整なので、「彩度」よりも画面の色が破綻しにくい傾向があります。
両者の違いについてはこちらの記事でくわしく解説しています。
写真の色を考えるときは、色の性質を知ると面白くなります。こちらは絵画の本ですが、とても勉強になります。
まとめ
今回は「彩度とのつきあい方」と題して、彩度の考え方と使いどころについてお届けしました。
「色の情報量」という点に着目するとわかりやすいかと思います。色の情報量が少なくなると、わかりやすくなるかわりに深みがなくなるというわけですね。
そのあたりのバランスを考えながら撮ると、写真を撮るのがよりたのしくなりますよ。