デジタル一眼は、ほとんどのモードでカメラが「写真の明るさ(露出)」を自動で決めてくれます。カメラが「ちょうどいい」と判断する明るさにしてくれるわけですね。
が、この明るさはあくまで機械的に判断されたものなので、目でみた実際の明るさよりも明るかったり暗かったりすることがあります。
その場合は、明るさを+1にする、あるいは-1にするなど、手動で調整することができます。
今回はこの方法を使った撮影方法「ハイキー」についてお届けします。
ハイキーとは
「ハイキー」とは、カメラが自動で判断した明るさよりも、より明るめにして撮ることをいいます。
明るさを大胆に上げて撮ることが多く、全体がやわらかくみえたり、軽快にみえたりする効果があります。
色がまろやかになってかわいくみえる、食べ物であればおいしそうにみえるなど、被写体によってはかなり有効な方法です。
ハイキーにすると、画面全体の印象が変わるのには次のような理由があります。
コントラスト・階調が弱くなる
ハイキーは、画面全体の明るさを上げて撮る方法です。
全体の明るさの上げ方は主に次の2つの方法があります。
- +1、+2など全体の明るさをそのまま上げる
- 画面の暗い部分の明るさを上げる
これらの方法は、単独で使われることもあれば、組み合わせて使われることもあります。
いずれの場合も、「画面内の暗い部分を減らし、明るさを上げる」ことになるため、必然的に画面内の「明るいところと暗いところの差」が小さくなります。
また、単純な明暗だけでなく、色同士に感じる明るさの差も小さくなります。
そう、ハイキーにすると画面全体のコントラストが弱くなるのですね。コントラストが弱くなると、次のようなことが起こります。
- 画面のメリハリがあまり感じられなくなる
- カチッとした印象や固さを感じにくくなる
- トゲトゲした印象が弱まる
そのため、画面がまろやかな印象になり、全体がやわらかくみえやすくなります。
また、画面の明るさを上げることによって、色全体も明るくなる(白に近づく)のもポイントです。これにより、全体が軽快にみえるようになり、さわやかな印象になることがあります。
彩度を上げる撮り方も
上で紹介したようにハイキーにすると、色全体が明るくなります(白に近づきます)。
明るさの上げ方によっては、写真全体が「色の抜けたような印象」「色がくすんだような印象」になってしまうことがあります。
これを防ぐために、明るさとあわせて彩度も上げて撮るという方法もあります。全体を明るく&色の鮮やかさも出せるというわけですね。
ハイキーのデメリット
ハイキーのデメリットは、まず「画面のメリハリが弱くなる」のが大きなところです。
この撮り方には合う被写体とそうでないものがあり、撮るものによっては、どこかピリッとしない「しまりのない印象の写真」になってしまうことがあります。ハイキーに向いていない被写体もある、ということですね。
また、明るさを上げすぎると、色の階調が大きく損なわれるという点にも注意が必要です。グラデーションが失われると、本来、そのモチーフが持っていた「味」がなくなってしまうことがあります。
そのほか、ハイキーは明るさを上げて撮るため、画面内に白とびが起こりやすくなるという点もあります。
方法上、白とびを完全に抑えるのは難しい場合もありますが
- メインの被写体に白とびが目立つ
- 画面全体をみたときに、白とびの割合が多い
となると、みる人によっては「失敗写真」と感じてしまうこともあります。
こうしたケースでは、白とびの許容範囲を決める、あるいは目がいきやすい部分の白とびには気をつける、などの対策を考えてみましょう。
おしまいに
今回は「ハイキーについて」でした。被写体によっては、非常に面白い雰囲気になり有用な方法です。
デジタル一眼は枚数を気にせずに撮れるのが大きな強みです。いつもの撮り方をしたあとに、ハイキーでも1枚、なんて撮り方もできますね。