前回の記事では「近道と遠回りの話」と題して、ネットが広く普及してから趣味の形についてお届けしました。
今回はその続きです。
「マニュアルがある」ということ
今の時代はネットを使えば、様々な情報を得ることができます。
趣味に関しても同様で、ネットで検索すればおおよそのほしい情報が手に入ります。
また、これまでは知識や技術の積み重ねが必要だったものでも、かんたんにできる方法やレシピが公開されていたりもします。
たとえば
- 「同じ手順でやれば、誰でも同じようにできますよ」
- 「初心者の方でも、こうしたら形になりますよ」
といったものですね。
初心者にとって、こうした情報があるのはとてもありがたいことです。早い段階でとりあえず形にすることができて、「できる喜び」「完成した感動」を味わうことができます。
……が、ここで難しいのは、こうしたマニュアルがあると
- みんな同じようになってしまう
という現象が起こりやすくなります。
わかりやすいところでは、たとえば次のようなケースです。
- 「こうしたらできますよ」というよい方法があったとします。
- すると、よい方法なので、多くの人が飛びつきます。
- 多くの人が飛びつくので、それが主流のようになっていきます。
といったケースです。
また、こうした場合に気をつけたいのは「その方法が出る前のことを知っている場合」と「そうでない場合」とではとらえ方が変わるという点です。
とらえ方が変わる
どのジャンルでもそうですが、時代背景を知っている場合とそうでない場合とでは、モノの見方に違いが出てきます。
時代が変われば、個々の人間を取り巻く環境が変わり、価値観に違いが出てきます。
具体的にみていきましょう。
その方法が出る前のことを知っている場合
「その方法が出る前のことを知っている人」は、新しい方法を目にしたときに、どのようにするかを考えてみましょう。
個人差はあるかと思いますが、ほとんどの場合、
- 多かれ少なかれ、自分が知っている方法と比較する
かと思います。
で、「面白そうだな」「よさそうだな」と思えば、新しい方法に乗ってみる。
ここで重要なのが、仮に「自分が知っている方法」から「新しい方法」に乗り換えたとしても、「自分が知っている方法」が記憶から完全に消えるわけではないという点です。
つまり、「従来の方法」の次に「新しい方法」があるということを理解している――この点は非常に重要です。
その方法が出る前のことを知らない場合
「その方法が出る前のことを知らない」――つまり、新しい方法が知れ渡ったあとにそのジャンルに入ってきた人はどうでしょう。
今のように、次から次へと情報が流れ込んでくる時代には、「前ばかりをみてしまいがちな傾向」があります。
とにかく情報があふれていますから、よほど意識して昔の情報に触れようとしない限りは、基本的には目の前の情報で十分――そんな考え方をする時代になってきているように思います。
そのように考えると、あとからそのジャンルに入ってきた人は、物差しが「今あるもの」になりやすいため、
- 現在、主流になっているものをみて(このジャンルの基本はそういうものなんだ……)だと思い、その通りにやるべきものだと考えます。
- 中には「多くの人がやっているから、この方法こそが唯一の正解」「これ以外の方法を使うのはわかっていない人」と考える人も出てきます。
といった形で、現在、主流にみえている方法を「基本」として考える可能性があります。
特に今のネットは「数字を判断の基準として考える」人も少なくないので、こうした流れになっていくのも時代の必然といえるかもしれません。
次回に続きます。