今回は「日の丸構図」について考えていきましょう。
日の丸構図とは、画面の中央に被写体を配置した撮り方です。撮りたいものをど真ん中にどーんと配置しちゃうわけですね。中央構図とも呼ばれます。
さて、この日の丸構図、「できるだけ避けるもの」「日の丸構図を卒業することが上達への第一歩」などとよくいわれます。
そうしたこともあり、面白い手法であるのにも関わらず、あまり語られない・評価されない側面があります。
日の丸構図のメリット・デメリットはこちらの記事で解説しています。
というわけで今回は、日の丸構図について、少し踏み込んで考えてみます。
日の丸構図についての考察
構図は、自分が見せたいと思ったものを伝えるための手段です。
ですので、「日の丸構図で撮るのがいちばん効果的」と考えて撮るのであれば、何の問題ありません。また、日の丸構図でしか出せない味や効果もあります。
……が、写真を撮る上で
- 日の丸構図はできるだけ避けるもの
- 日の丸構図からの卒業が上達への第一歩
という認識は根強く、抵抗を感じる方もいるかと思います。
ですが、ここでちょっと考えてみましょう。
実は「日の丸構図」に限ったことではない
そもそもなぜ「日の丸構図を避けよう」だとか「卒業しよう」といわれるでしょう。写真の入門書を読むと、次のようなことがよく言われています。
- 写真はただ真ん中で撮るだけじゃないよ。いろいろな構図を知るともっとよくなるよ
- 真ん中で撮ると、被写体の魅力を存分に伝えられないことがあるよ
- 何も考えずに真ん中で撮るのを卒業しよう。考えて撮ると、もっとよくなるよ
そう、これはどれも日の丸構図に限ったことではないんですね。
どんな構図であれ、何も考えずに撮るよりも考えて撮ったほうがよくなる。その構図よりももっと魅力が伝わる、いい写真になる構図があるかもしれない。そんな意識で撮ることが大切ということです。
卒業すべきことは何か
構図には、分割法や対角線構図など、いろいろな構図法があります。中でも古くから伝わってきている構図法はどれも使えるシーンが多く、とても便利です。
が、どれが効果的かは「自分が何を見せたいか」で変わるんですね。
「日の丸構図ではいまいちだった写真が、別の構図にしたら見違えるようになった」これは写真をはじめたころに、多くの方が経験したことだと思います。
ですが実は「別の構図だとパンチがなかったけれど、日の丸構図にしたらグッと力が出た」ということもよくあります。
そう、卒業するのは「何も考えずに日の丸構図で撮ること」であって、「日の丸構図」という構図法を捨てる必要はないんですね。
日の丸構図は、表現の引き出しの1つとして持っていて損のない方法です。
日の丸構図以外でも撮っておく
「日の丸構図で撮っていると『何もわかっていない人』って思われそうだし……」という心配をしている方もいるかと思います。写真を人に見せる機会のある方はなおさらですね。
その場合は、日の丸構図以外の写真を多めに撮り、たまに日の丸構図の写真を入れるのがおすすめです。そうすると、「あえて日の丸構図で撮ったんだ」という意図が伝わりやすくなります。
また、ほかの構図を多くすることで、たまに入っている日の丸構図の写真が際立ってみえます。撮った写真全体で演出をする、ということですね。
日の丸構図のようで違うかもしれない構図
「日の丸構図はタブー」ということにこだわらないようになると、面白い写真が撮れることがあります。上の写真は、日の丸構図のようで違うかもしれない写真です。
ねこの顔だけをみると画面の中心近辺にあり、ほぼ日の丸構図というポジションです。が、体も含めて「ねこ全体」でみるとウエートとしては左が重い構図になっています。
しかし、右側の差し込む光が目立っていることで、左側の重みを解消しています。実はこの光、ちょうど分割法のいいポイントに入っています。
「日の丸構図でもOK」と考えると、このような面白い合わせ技もできたりします。
まとめ
今回は「日の丸構図についての考察」と題して、日の丸構図の考え方をお届けしました。
構図は「被写体を最も魅力的にみせるための手段」「自分が感動したことを伝わりやすくする手段」の1つです。ですので、「被写体をど真ん中に置くのが最も効果的」と考えたのであれば、それは間違いではないということですね。
構図に迷ったときは、思い切って日の丸構図にしてみると、気になっていたことが解消することがあります。日の丸構図は手段の1つとして持っていて損のない方法ですよ。