前回の記事では「オートモードの本質」と題して、カメラのオートモードについての考察をお届けしました。
今回はその続きです。
仕上げの手軽さ
前回の記事では、デジタル一眼は写真を仕上げるのに
- カメラ本体で完結しにくい
といったことを書きました。
そのため、
- 「撮影すること」と「写真として仕上げる(編集や補正、現像などをする)こと」が分断されてしまう
- その結果、「未編集の写真データ」「未現像のデータ」がたまりがちになる
といったことが起こりやすくなる旨についても書きました。
そう、カメラとパソコンなど、撮影と仕上げで「別々の環境で、別々の作業をしなければならない」のが大きなネックなのですね。
スマホのカメラ
そこへきてスマホのカメラです。
アプリを入れるケースを考えたとしても、基本理念は「手軽さ」でしょう。
- 手軽にそれっぽい写真が撮れる
- 手軽にそれっぽい加工ができる
もちろん、画像処理にこだわるのであればそれなりに手間はかかります。
が、「なかなかいい感じじゃない?」「なんだかそれっぽいぞ」という写真にするのであれば、かんたんな操作でできてしまいます。
いうなれば、形になるまでが速いのですね。
また、「形になるまでが速い」ということは、その分だけ完成した自分の写真を目にする機会が増えることでもあります。
ここが重要なポイントです。そう、数をこなせるわけですね。
イメージ的な問題
ここで、イメージ的な問題についても考えてみましょう。
たとえば、散歩中に気ままに写真を撮るとして、次のどちらが仕上がりが速いように感じるでしょう(どちらも被写体は同じとします)。
- デジタル一眼で写真を10枚仕上げる
- スマホのカメラで写真を10枚仕上げる
すると、多くの方が後者(スマホのカメラ)のほうが速いと感じるのではないでしょうか。
私自身も「この場合であれば、やはりスマホのカメラだろうなあ」と感じます。
その理由
このように感じるのはいくつかの理由があります。
まず1つめは、先に挙げた「本体だけで仕上げが完結するかどうか」という点ですね。
そして、2つめの理由は「できることの範囲」です。
たとえば、デジタル一眼で撮った写真のデータを形にする場合、多くの方はPhotoshopなどの画像編集ソフトを使用するかと思います。
こうしたソフトをすでに使っている方はわかるかと思いますが、本当にいろいろできるんですね。こだわろうと思えば、どこまででもこだわることができます。
これは細部に関しても同様で、細かいシミや汚れなどの「アラ」を、消そうと思えばとことんまで消すこともできます。
――となると、何が起こるのでしょう。
そう、いろいろやりたくなってしまうのですね。作業を進めるほど、
- 気になる点を少しでも減らしたくなる
- もっといじれば、もっとよくなるような気がする
といった気持ちになり、結果、仕上がるまでに時間がかかるようになってしまう――こうしたソフトを使っていると、そうなりやすい傾向があります。
つまり、時間がかかりやすくなるわけですね。次回に続きます。