写真関連の本は面白いものがたくさんあります。
エッセイ風のもの、自伝的なものなどいろいろな本がありますが、今回は読み物としてもバツグンに面白い「ロバート・キャパの謎」関連の書籍を紹介します。
ロバート・キャパの名前を聞いたことがあるという方は多いでしょう。20世紀を代表する報道カメラマンとして知られている人物です。
実はこのキャパ、謎が非常に多い人物で、その謎はどれも不思議なものばかり。極上のミステリ小説と並ぶ面白さがあります。
ロバート・キャパの謎に関連する本
そもそも何が謎なのか
ロバート・キャパの謎として真っ先に挙げられるのは、「崩れ落ちる兵士」の真贋。
1936年にフランスの雑誌に掲載、1937年にはアメリカの「LIFE」誌に掲載された写真です。ロバート・キャパの名前を一躍世界に知らしめた1枚ですが、この写真、非常に謎の多いものとされています。
実に訴えかけるものが多い写真なのですが、たとえば
- 戦場で果たしてこんな瞬間を撮れるものだろうか
- キャパはこの写真をどこから撮ったのか
- この場所はどこなのか(雑誌のキャプションにある通りの場所なのか)
といった謎があり、様々な議論がされてきた写真でもあります。
また、キャパ自身もこの写真についてほとんど語ることがなかったことも、その謎をよりミステリアスなものにしています。
そして、そもそもロバート・キャパとは誰なのか――。
まるでミステリー小説さながらの謎もあります。
キャパの十字架
ロバート・キャパの謎に迫る本として、抜群に面白いのがこの1冊。沢木耕太郎さんの「キャパの十字架」です。
沢木耕太郎さんというと「深夜特急」のイメージが強い方も多いかと思いますが、取材モノ・ノンフィクションものも傑作ぞろいの作家さんです。
「キャパの十字架」は推理・取材・考察のバランスが絶妙で、グイグイと読ませる面白さがあります。キャパの謎に対する答えは衝撃の一言。
「キャパの謎」入門としてもおすすめの1冊です。
ロバート・キャパの謎: 『崩れ落ちる兵士』の真実を追う
キャパの謎に興味を持った方にぜひ読んでほしいのがこちら。吉岡栄二郎さんの「ロバート・キャパの謎: 『崩れ落ちる兵士』の真実を追う」です。
丹念な取材・検証をもとに構成された本書は圧巻の一言。ロバート・キャパとは誰なのか、「崩れ落ちる兵士」の真実について、とことんまで掘り下げています。
撮影に関する考察も抜群に面白く、かの写真の撮影場所や撮影位置は「こういうことだったのか!」と驚かされます。
前述の「キャパの十字架」とは違った方向での考察もあるため、セットで読むとより面白さが増します。
キャパに興味を持ったら
ロバート・キャパに興味を持った方は、ぜひ彼の写真集を見てみてください。現在でも入手しやすいものはこちら。
岩波文庫から出ている「ロバート・キャパ写真集」です。謎多きロバート・キャパですが、その写真をみれば、何もかも吹っ飛んでしまうかのような素晴らしさがあります。
秘蔵の写真も収録されており、非常に価値ある1冊です。
また、キャパに興味を持ったら、ぜひ読んでおきたいのがこちら。
ロバート・キャパの半自伝「ちょっとピンぼけ」です。かなり古い本ですが、キャパの人となりを理解するのにおすすめの1冊です。
翻訳に難がある、古本でしか入手できないといったデメリットもありますが、後世の検証本とは違った側面がみえてとても面白いですよ。
まとめ
今回は「ロバート・キャパの謎」に関連した本を紹介しました。こうした検証本は読み比べてみると、謎の解明へのスタンスの違いがみて、非常に面白いものがあります。
今回紹介した本は、キャパを知らない方が読んでも面白いものばかりですよ。興味がある方はぜひ読んでみてください。