前回の記事では、Windows10の起動時に写真が表示される機能「Windowsスポットライト」をもとに、写真の補正・加工について考えてきました。
前回は「補正・加工をすることで得られるものもあれば、失うものもある」というところまでお話しました。今回はその続きです。
失っているもの
写真の補正や加工をする際に、失われやすいものをいくつかみていきましょう。順不同に挙げていきます(ここで挙げるケースは、あくまで一例です。これがすべてではありません)。
ナチュラルなカゲ
写真の補正や加工では、よく「暗い部分を明るくする」という作業が行われます。全体の明るさを調整する際にもよく使われますね。
ただ、部分的に明るくする際には注意が必要で、場合によっては、そのものが持つ質感や立体感、ナチュラルさを失ってしまうことがあります。
ぺたっとしてみえてしまう、深みがなくなってしまうといった弊害があります。
階調
色をくっきりはっきりさせる、コントラストを強くすることで失われるのが「階調」です。色の段階が失われて、色の変化が大ざっぱになったり、極端になったりします。
見た目のインパクトは増しますが、階調を間引くわけですから、自然な色の変化や深み、立体感が失われます。
バリバリに補正・加工された写真が、その構図のわりにぺたっとしてみえたり、奥行きが感じられなかったりすることがあるのは、これが原因になっている部分もあります。
自然なものが持つ不完全さ
自然物には、基本的に不完全な部分が存在します。一見、よさそうに感じるものでも、どこかに歪な部分があったり、「?」という部分があったりします。
こうした部分を加工しすぎてしまうと、かえってその自然物らしさを失ってしまうことがあります。また、そのものが持つ空気感や独自性も消えてしまう場合があります。
写真の傾向としては、ひと昔前はこうした「歪さをたのしむ」というスタンスが多かったように思います。
が、近年は「歪な部分をなくしてキレイにします」というやり方が多くみられるようになってきたように感じます。
補正・加工は何かを得て、何かを失う作業
上では、写真を補正・加工をすることによって失われるものの一例を挙げました。
つまり、補正・加工とは何かを得るかわりに、何かを失う作業ということです。
しかも、「失われるもの」の中には、写真にとって重要な要素も多い――本来であれば、補正や加工はさじ加減を考えながら行う点が多い、非常にデリケートな作業ともいえます。
……が、現在は「行きすぎた補正や加工」が目に入ることが多くあります。
次回に続きます。