前回の記事では「どう解釈するか・正解という概念」と題して、「解釈」をキーワードにお届けしました。
どう解釈するか・正解という概念
今回は「解釈」というキーワードをもとに、写真の解釈・感想について考えていきます。 何らかの作品や物事をみたときに、どんな感想を抱くか、あるいはどんな解釈をするかは人それぞれです。 そうした感想や解釈は、個人の感性・感覚から生まれるも...
今回はその続きです。
前回の記事では
前回の記事では、冒頭で次のような問いを出しました。
- たとえば、ある場所に5人の人がいて、同じ作品をみたとします。
- 作品をみたあとに感想をきくと、5人はそれぞれ違った感想を持っていました。
- この場合、どの感想が正解なのでしょう。
という問いですね。
答えは、全員が正解です。なぜなら、作品を見て、どんな感想を持つか、どんな解釈をするかは人それぞれだからです。
つづいて、次のような問いを出しました。
- 5人のうちの1人(Aさんとしましょう)が次のようなことをいったとします。
- 「私の感想が正解で全員正解ということは、5人とも私と同じ感想を持ったということね」
- 果たして、このAさんの考え方は正しいのでしょうか。
といった問題です。
――答えは、そう、もちろんNOですね。
なぜなら、最初の問題で挙げたように、正解は1つではない(この場合は5通りの正解がある)からです。
今回はここから話をすすめていきます。
「正解」という言葉の解釈
上の例では、Aさんが前提条件をすっ飛ばして、「私の考えは正解なんだから、みんなにとってもこれが正解よね」と勘違いしてしまった例を挙げました。
この場合の前提条件は、「正解は1つではない」という点です。
なぜなら
- 作品をみたときに、どんな感想を持つかは人それぞれ
- そのため、どんな感想を持ったとしても正解
- いうなれば、人の数だけ正解が存在する(可能性がある)
という中での話だからです。
そう、このケースは、「1+1は?」のように、答え(正解)が1つに決まっているものではないのですね。
つまり、「私の考えは正解だから、ほかの人にとってもこの考えが正解だ」という考え方が通用するかどうかは、その場による・あるいは前提条件によるわけですね。
この点は非常に重要です。
今回の例でしたら、
- 5人それぞれの感想があり、そのどれもが正解
- つまり全員正解ではあるが、全員が同じ感想や解釈をしているわけではない
- なぜなら「どれもが正解」であり、答えは1つではないから
というわけですね。
つまり、作品をみたときに、自分がどんな感想を持つかは自由ですが、「自分が感じたこと」=「すべての人に対して絶対の正解」ではないわけですね。
ここからはこの点を大前提として考えていきます。
次回につづきます。