前回の記事では、写真のセオリーや鉄則について「その理由を考えること」の重要性について書きました。
「白飛び」を例にして、書籍ごとに考え方の違いがあることをお話しました。
今回はその続きです。
白飛びの「白」
白飛びの「白」は、その部分に色の変化や階調がない白、いわゆる「真っ白」になります。
たとえばこちらの写真。
マフラーとリボンの部分が白飛びしています。この部分だけ色の変化や階調がないのでぺたっとしていて不自然にみえます。
なぜ不自然にみえるのかといえば、この写真のほかの部分と違うからです。ほかの部分には、色の変化や階調があります。
つまり
- まわりから浮いて見える
わけですね。
まわりがべた塗りじゃないのに、そこだけべた塗りのようになっているから目立つのですね。だから、その部分が不自然にみえてしまいます。
――では、まわりもべた塗りのようになっていたらどうでしょう。
そう、「まわりから浮いて見える」という問題が解消できる可能性があります。
つまり、写真全体の階調をなくす(あるいは乏しくする)ような撮り方をすれば、白飛びしている部分がさほど気にならなくなる可能性があります。要は、まわりをなじませるわけですね。
このように考えると、写真の傾向によっては「白飛びが抱える問題」をクリアできるケースもあるということがわかります。
ただ、あくまで「写真の傾向によっては」ですので、「どんな写真の場合でも白飛びは問題なし!」なわけではありません。
真っ白の性質
次に考えたいのは「真っ白」が持つ性質です。
白飛びした部分が「真っ白」な描写になるのは、これまでに述べた通りです。
ここで知っておきたいのは、この「真っ白」はその写真の中で最も明るい色になるという点です。
白飛びしていない部分に、どれだけ明るい部分を作ろうとしても、白飛びした部分を超える明るさにはなりません。
最も明るい部分は、その写真の中で最も目立ちやすい部分でもあります。最も目をひきやすい部分と言い換えてもいいでしょう。
そう、白飛びする箇所によっては、目立たせたくないところが目立ってしまう可能性があるということです。
場合によっては、「写真の主役が白飛びした箇所になってしまう」なんてことになるかもしれません。
性質を知っておく強み
今回は「白飛び」を例に、その性質をいくつかピックアップしてみました。
こうして考えると、「白飛びは絶対ダメ」「白飛びは場合によってはアリ」「白飛びは気にしなくてよい」といわれる、それぞれの理由がみえてきます。
また、白飛びの性質がわかってくると、その扱いの難しさもみえてきます。
そう考えてみると「白飛びは絶対にダメ」という考えでいくのがよいように思えてきます。
……が、難しいのは「白飛びを気にするあまり、委縮してしまう」場合も少なくないということです。
となれば、どうしたらよいのでしょう。
ここは「枚数を気にせずに何枚でも撮れる」というデジタルカメラの利点を生かしましょう。
そう、「迷った時は、それぞれの方法で撮ってみる」ことをしてみましょう。
それで、後からチェックしてみて、よいと思う方を選べばいいのですね。
そして、その後に分析してみましょう。
「なぜ、よいと思ったのか」「なぜ、そうでないと思ったのか」――こうして、自分の頭で考えることはとてもよい勉強になります。
まとめ
今は情報があふれている時代ですが、前回と今回の記事で紹介したように「自分の頭で考えること」も大切にしていくと、鉄則やセオリーの理解がより深まります。
よかったら参考にしてみてください。