何かを新しく始める際には、教科書的な本があると便利です。
写真でいえば、入門書や技法書の類ですね。わかりやすく書かれた入門書は特に重宝します。
……が、こうした本を買うときに気をつけたい点があります。
それは、その本に載っている写真。
掲載されている写真はあくまで「作例」であり、その本を読めば同じように撮れるわけではないという点に注意が必要です。
掲載されているデータの考え方
写真の入門書や技法書を読むと、多くの場合、写真とあわせて撮影情報が記載されています。
たとえば、こんな感じで記載されていたりします。
その写真を撮る際に使用したカメラやレンズ、焦点距離などが記載されています。
こうした情報をみると、つい「なるほど、この通りにやれば同じように撮れるのか」と考えてしまいます。
が、実は同じ条件を揃えて撮っても、そうはならないことがほとんどです。
構図はそれらしくなりますが、色や描写がかなり違う……なんてことがよく起こります。
なぜそうなるのでしょう。
書かれている情報がすべてではない
撮影情報には、おおよそ次のようなデータが記載されています。
- 撮影したカメラ
- 使用したレンズ
- 焦点距離
- 絞り
- シャッタースピード
本によっては、さらに詳しい情報が掲載されていることがあります。
たとえば
- 露出補正
- ISO感度
- ホワイトバランス
といった情報もあわせて記載されていることがあります。
これだけのデータが載っていれば、同じ条件を揃えたら、同じように撮れると思えます。カメラの設定で悩みやすいところも、押さえられているように感じられます。
……が、実はこれ、よくみると「描写や仕上がりに関する設定」がほとんど入っていないのですね。
書かれていない情報は何?
本に載っている写真は、
- その設定だけで撮ったものを、そのまま完成写真にしているわけではない
という点を知っておく必要があります。
たとえば色合い
たとえば色合いの設定です。
デジタル一眼は、カメラ本体で写真の色合いを設定することができます。色の出方や彩度の調整など、様々な設定をすることができます。
また、画像編集ソフトを使えば、自由な発想で写真の色合いを調整することができます。
今はこうしたソフトを使う人が増え、一般の人でも「撮影後に、ソフトで手を加えて仕上げること」がスタンダードになってきています。
では、なぜそのようなことをするのでしょう。
それは、
- 写真がよりよくみえるようになる
- あるいは自分のスタイル、らしさを出せたりする
からです。
色合いを設定(調整)することで、仕上がりをよくするわけですね。
そのため、「撮って出し」の写真を目にする機会が減ってきたようにも思います。
これが本に載せる写真であればなおさらです。
「よりよい写真」を載せようとするなら、あるいは「著者らしい写真」を載せようとするとするなら、色合いの設定(調整)をしない手はありません。
次回に続きます。