写真は「画面内にある水平・垂直のラインをきちんとする」と画面に安定感が出ます。
- 地平線が水平になるように撮る
- 垂直なものが傾かないように撮る
わけですね。
このように撮ると、画面がどっしりと落ち着いた印象になります。
逆に水平・垂直ラインが傾いていると、画面に不安定に見えて、なんとなく落ち着かない印象になります。失敗写真の例としても、よく挙げられるケースです。
が、「傾きがもたらす性質」をあえて生かした撮り方があります。
というわけで今回は、ダッチアングルショットについてお届けします。
ダッチアングルショットとは
ダッチアングルショットとは、「あえてカメラを傾けて撮る」方法です。傾斜ショット、カンテッドショットとも呼ばれます。傾ける方向は左右どちらの場合でも、この分類に入ります。
ダッチアングルショットは、まさに「水平・垂直ラインが傾いていると落ち着かない」という性質を生かした方法で、そのほかにも次のような効果を狙って使われます。
- 「不安定な心情」を表現する
- 画面に緊張感を出す
- 落ち着いたバランスをくずして、ダイナミックにする
いずれも、「落ち着き」や「安定」とは逆の印象を与える画面になります。
ダッチアングルショットと失敗写真との違い
ダッチアングルショットは、撮る人が「こういう効果を出したい」という狙いを持って、カメラをあえて傾けて撮るショットです。
失敗写真は、「傾けるつもりはなかったのに傾いてしまった写真」です。
「普通に撮ろうとしたけれど、傾いてしまった」「水平・垂直ラインに気がまわらずに、傾いてしまった」ようなケースですね。
つまり、意図を持って、あえて傾けて撮るのがダッチアングルショットということですね。
傾ける角度による効果
ダッチアングルショットは傾ける角度が大きいほど、不安定な印象を強く与えるようになります。安定したバランスを大きく崩したい時は、大きく傾けます。
傾ける角度が小さくなるほど、不安定な印象から「安定」「落ち着き」のある印象に近づいていきます。
ほんの少しだけ傾けた写真は、見る人の目には「水平・垂直を合わせた写真」の延長と映りやすく、「ある程度の落ち着きがありながらも、アクティブさのある写真」という印象を与えることがあります。
ダッチアングルショットを知る
ダッチアングルショットは、映画で多く用いられている手法です。どんな場面で用いられているのかを注意して見てみると、たくさんの発見があります。
映画の中でも、ダッチアングルショットをふんだんに使っている作品として有名なものに「第三の男」があります。
非常に発見の多い作品ですので、興味のある方はぜひ見てみてください。
おしまいに
今回はダッチアングルショットについてお届けしました。
同じ被写体でも、カメラの傾け方によってずいぶんと印象が変わります。いろいろな角度で撮って研究してみるのも面白いですよ。