前回の記事では、写真の補正・加工をすることで失っているものについて考えてきました。
今回はその続きです。
なぜ補正や加工が行き過ぎてしまうのか
ここで、なぜ「補正や加工が行き過ぎてしまうのか」という点について考えてみましょう。
作業環境によるもの
まず1点目は、作業環境によるものです。
今は、写真を撮ったあとは、パソコンのモニターなどで画像データをすみずみまで確認できます。拡大してチェックするといったこともできます。
そのため、細かい部分のアラがみつけやすくなったという点が挙げられます。
たとえば
- 普通のサイズでみていれば気づかない点
- 写真全体をみれば、特に問題にならない点
といった点。
これらは、写真全体でみれば気にならない(気にすべきでない)部分なのに、なまじ拡大してチェックができるがために、気になってしまう。
そして、これを修正すると、今度はさらに別のアラが気になってくる……といった感じで、どんどんとエスカレートしてしまうわけですね。
「もっとこうすればいいのでは?」の落とし穴
2点目は、「『もっとこうすればいいのでは?』がエスカレートする」という考え方です。
補正や加工をしていると、「もっとこうすればいいのではないか?」「こういう方法はどうだろう」といったアイデアが浮かぶことがあります。
よりインパクトが出る、よりキレイにみえたり、ドラマチックにみえたりするのではないか、と思いつくわけですね。
……が、これは非常に危険で、ほとんどの場合、元の写真からかけ離れていくためのアイデアです。
確かに「見た目」は強化できるかもしれませんが、やればやるほど「作り物」「CG」に近づいていきます。
人間の目や感覚は、インパクトのあるほうに引っ張られやすい性質があるので、その点を意識しておかないと、どんどんエスカレートしていってしまいます。
バランス取りの基準
写真を部分的に補正・加工をすると、場合によってはまわりとのバランスがいまいちにみえることがあります。
そこで、他の部分も補正・加工をしてバランスを取ろうとすると「行きすぎた補正・加工」になってしまう場合があります。
本来は「補正・加工をすべきでない部分」に手を入れてしまったのが原因、というわけですね。
つまり「補正や加工した部分にあわせてバランスをとる」方法を使うと、全体が上に引っ張られてしまうということです。
次回に続きます。