前回の記事では「その写真の狙いを考えてみる」と題して、写真の見方についての考察をお届けしました。
今回はその続きです。
別のアプローチ方法
前回の記事では、写真をみる際に、自分の感想を持つだけでなく、「この写真の狙いはなんだろう」と考えてみることをおすすめしました。
そうすることで、自分の注目ポイントとは別の方向からもその写真にアプローチできるようになります。
薄っぺらい写真
ここで1つの例を挙げてみます。
ある人が次のように感じた写真があったとします。
- 派手なだけで、深さのない写真
- 初見のインパクトはあるけれど、それだけの写真
この言葉からすると、その人にとっては好みではない写真なのでしょう。
そんなわけで、その人が「長く鑑賞するに値しない、薄っぺらい写真」という感想を持ったとします。
ここで、先ほど紹介したアプローチ方法です。
その人が「その写真の狙いを考える」というアプローチで、あらためてその写真をみると感想が変わってきます。
たとえば、その人は次のようなことを考えるかもしれません。
- もしかしたら、この写真は「初見でインパクトを与えることを狙った写真」なのかな?
- だとしたら、この派手さはそのための仕掛けかな?
- となると、この写真は、最初から「長く鑑賞させることは狙っていない」のかもしれないな……。
そう、最初の感想とは違った視点でみられるようになるわけですね。
ちなみに、こうした想像は自分なりのもので構いません。
なぜなら、ここで想像したことが「果たして本当にそうなのか」は、その写真を撮った人にしかわからないからです。
大切なのは、自分の注目ポイントとは別のアプローチ方法を持っておくということです。
そうすると
- 好きなタイプの写真ではないけれど、なるほど、そういう狙いなのか
といった考えが持てるようになります。
0か100かだけではない
人はとかく、評価をしようとすると「よいか悪いか」か、「0か100」で、考えてしまうことがあります。
が、そういう考え方だけではもったいないこともある――というのが今回の連載の趣旨です。
写真をみて、どんな感想を持つかは人それぞれで自由ですが
- 今、無理に答え(結論や評価)を出さなくてもいい
- 感じ方は二転三転して当たり前
- 写真をみるときは「その写真の狙い」も考えてみる
といった考え方をもってたのしむのは非常に重要なポイントかと思います。
無理にきめつけたり、自分の中で切り捨てる必要はないということですね。
まとめ
自分の感想・感じ方は、その時々で変化していくものです。
最初は「いまいちだな」と思ったものでも、時間をおいてみると「意外といいのでは?」に変わり、さらに時間をおいたら「飽きないなあ」といった感想に変わっていくものもあります。
また、自分の中の感想が、時期によって「よい」と「悪い」を行ったり来たりすることもあります。
つまり、一度抱いた感想や思いは「この先も絶対ではない」ということですね。むしろ、変わるほうが自然と考えてもよいかもしれません。
その時点の感じ方だけで、物事に対する評価(結論)を出してしまうのは、非常にもったいないように思います。