写真を撮ることに慣れてきたら、被写体を真上から撮る写真にチャレンジしてみましょう。
普通に撮るのとは違った雰囲気になり、とてもユニークな写真になります。
「被写体を真上から撮る」ということ
日常生活の中で、「ものを真上からみること」は意外と少ないもの。下に置いてあるものをみるときも、だいたいの場合は、なんらかの角度がついています。
そのため、被写体を真上から撮ってみると、発見がいっぱい。見慣れたはずのものでも、ずいぶんと不思議でユニークな形をしていることに気づきます。
横からみて「いまいちだなあ」と感じるものでも、真上からみるとガラッと印象が変わるものもあります。普段とは違う視点で「もの」に触れられるのは、カメラの醍醐味です。
チャンスがあれば、ぜひ真上からの写真にチャレンジしてみましょう。
立体感の消失
「真上から撮った写真」がユニークにみえる理由の1つに、「立体感の消失」があります。
立体物は正面と側面がみえるなど、同時に2面以上がみえていると立体感がでやすくなります。
よくいわれるのが、被写体を斜め45度から撮った写真です。正面と側面がほどよいバランスで入り、立体感がよく出た写真になります。
それに対し、真上から撮った写真は被写体の形状にもよりますが、ほぼ「真上からみえる1面」に集中した写真になります。そう、立体感がでにくくなるんですね。
立体感が消失する、つまり「平面的な印象」になるので、ちょっと不思議にみえたり、面白くみえたりするわけです。
視点のおもしろさ
真上から撮ると、見慣れたものでもふだん目にしているのとは違った印象になります。この写真は、ハナアブが花にむかって飛んでいるところを撮ったもの。
ハナアブも花も、真上からみる機会は意外と少ないもの。そうしたものを真上から撮ってみると、非常に新鮮なイメージになります。
また、先ほど紹介したように立体感が消失し、平面的な印象になっているのも、ユニークさの要因になっています。
遠近感の消失
写真は、画面の中に「近いところ・中間のところ・遠いところ」といった奥行きをつくることで遠近感を出します。奥行きの要素が少ないほど、平面的な写真になります。
この性質を利用して、
- 被写体と背景の距離が近い
- 被写体と背景との距離が分かりにくい
ものを真上から撮ると、遠近感が消失した写真になります。
「立体感の消失」とあわせて、この性質を利用すると、不思議なイメージの写真が撮りやすくなります。
近いのか遠いのか、距離感のわからない写真になり、面白い印象になります。
知っておくと便利なこと
撮影方法
被写体を真上から撮るときは、背面モニターが可動するタイプのカメラが便利です。いわゆる「チルト式」「バリアングル式」のカメラですね。これらのカメラを使うと、ファインダーやモニターをいちいちのぞきこまなくても撮影ができます。
撮影は十分な光がある場所であれば、手持ちでの撮影が可能です(今回の記事で使った写真はすべて手持ちで撮っています)。
何枚も同じ位置から撮りたいときや、手持ちで撮影位置の調整ががむずかしいときは、三脚を使うと便利です。
画像のようにアングル変更用のアームをつけて使うと、より撮影しやすくなります。
「真俯瞰(まふかん)撮影」という言葉
ここで、ちょっとした写真の用語も知っておきましょう。
被写体を見下ろすことを「俯瞰(ふかん)」といい、その状態で撮ることを「俯瞰(ふかん)で撮る」「俯瞰(ふかん)撮影」といいます。
今回のように被写体を真上から撮るのも「俯瞰撮影」の一種です。真上から撮ることを「真俯瞰(まふかん)撮影」という場合もあります。
まとめ
今回は「被写体を真上から撮ってみよう。真俯瞰(まふかん)写真の面白さ」をお届けしました。真上からの撮影はたのしいだけでなく、撮っているとたくさんの発見があります。「最近、写真がマンネリ化してきたなあ」と感じている方にもおすすめです。ぜひ撮ってみてくださいね。