前回の記事では「従来のユーザーがターゲット」と題して、現在のデジタル一眼の高価格路線について書きました。
今回はその続きです。
乗り換え先がなければ
ここ数年は、カメラメーカーの製品ラインナップが高価格商品が中心になっています。現行機をみると、メーカーによってはエントリーモデルすら扱っていないところもあります。
こうした状況をみると、メーカーは高価格モデルを中心とした路線に突入したと考えてよいかと思います。
乗り換え先
こうした状況でも、デジタル一眼からの乗り換え先がなければ、「従来のユーザーをターゲットにする路線」もアリかと思います。
ただ、現在は、スマホのカメラという有力な乗り換え先があるんですよね。
ですので、従来のユーザーの中でも、たとえば「ほどほどに写真をたのしみたい人」であれば、無理に今の高いデジタル一眼を買わなくても
- すでに所有しているカメラ
- スマホ
- 画像編集ソフト
の組み合わせで普通に満足できちゃったりするんですよね。
もちろん「高価なデジタル一眼」と「高価なレンズ」との組み合わせでしかできないこともありますが、一口に「従来のユーザー」といっても、その中にも様々なユーザーがいるのですね。
高価格路線はどうなる?
ここからは私個人の感覚も入るのですが、高価格路線を続けていくと、カメラがいずれ「限られた人のたのしみ」になってしまうように思います。
まず、価格が高いと買う人が限られてきます。人によっては「買うのに覚悟がいる価格」といえるでしょう。
また、そうした製品をいくつも買える人はさらに限られてくるかと思います。新製品が出たから追いかけるといったことも、しにくいように感じます。
さらには、製品がどれだけサイクルするのかという疑問もあります。
価格に見合った耐久性があるのだとしたら、ユーザーがある程度の年数は使う可能性があるわけで、「壊れたから新しいものを買う」といったサイクルの期間がゆるやかなものになるケースが考えられます。
となると、「買い増し」や「買い替え」になるわけですが、もとが高額ですから、そう何度もできるユーザーはさらに限られてくるでしょう。
また、中にはカメラから卒業していく人もいるでしょう。
そう考えると、「高価格路線に乗れるユーザー」の中にもいろいろなケースが考えられます。
いずれにせよ、この場合も新たに「高価格路線に乗れるユーザー」を増やしていかないと、全体の数が減っていく可能性があります。
となると、その新たに「高価格路線に乗れるユーザー」をどこで獲得するかという話になってきます。
「間口」という話
新たに「高価格路線に乗れるユーザー」を獲得するには、そうなってくれる可能性のあるユーザーが入ってくる間口が必要になります。
そう、結局は「間口」の話なのですね。
あまりに間口が狭いと、将来のこうしたユーザーの入り口を閉ざしてしまう可能性もあります。
カメラ業界にとっては厳しい時代かと思いますが、まだまだ「デジタル一眼をたのしみたい人」は多いと思います。
現在のカメラを取り巻く環境は、よく「あるジャンルの状況」にたとえられます。
以前はもっと幅広いファンがいた世界だったのに、製品が高額化していくのに連れて、ごく一部の限られた人だけの世界になってしまった――。
気軽にたのしみたいユーザーにとっては、限られた人だけのたのしみになっていくのは、さびしいものがあります。