現場で撮ったときはベストだ思った写真が、家でみたらそれほどではなかった……。写真を撮っていると、こうした経験をすることがよくあります。
これは現場と家とでの「感覚のギャップ」によって起こる現象ですが、人間が持つ性質からくる現象でもありますので、このギャップを完全になくすのは難しいところがあります。
そのため、対策としては、できるだけギャップを減らすようにする――これがポイントになります。
ベスト以外にも撮ってみる
ギャップを減らす対策としてよく使われるのは、複数枚撮ることです。ベストだと思ったものと、位置や場所などを変えて撮ってみる方法です。
現場で撮っていると、自分が「よし!」と思ったシーンであればあるほど気持ちが入り込みます。
これはよいことでもあるのですが、気持ちが高まったり、気が寄りすぎたりして
- 視野が狭くなってしまう
- これがベストだと思い込んでしまう
ことがよくあります。
そう、ベストだと思ったもののあとで、位置や場所などを変えて撮るのは、この感覚をいったんリセットする意味もあるんですね。
位置や場所を変えると、気分や気持ちが変わります。また、高まっていた気持ちがクールダウンして、冷静になることもできます。
「一歩」の重要性
ベストだと思ったものから位置や角度を変えて撮る時に、ぜひ入れておきたい方法があります。
それは、「一歩前に出て撮ってみる」あるいは「一歩さがって撮ってみる」方法です。
一歩前に出て撮ってみる
一歩前に出て撮ってみると、画面に入る範囲はどうなるでしょう。
そう、画面に入る範囲が一歩分、狭くなりますね。
単純な方法ですが、これをするだけで、画面がギュッと引き締まってみえるようになることがあります。
これは、写真の補正や加工をする際にも使える方法です。
「なんとなくいまいちだな……」と思う写真があったら、一歩前に出て撮ったつもりで、周囲をカットして、ひとまわり小さくトリミングしてみましょう。
すると、最初とはガラッと印象が変わって、いい雰囲気の写真になることがあります。
もちろんシーンにもよりますが、必要な要素を凝縮させることで、散漫な印象がなくなります。
現場で撮っていると、ついあれこれ画面に入れたくなってしまう――そうした傾向がある方に特におすすめの方法です。
一歩下がって撮ってみる
上とは逆に、ベストと思った位置から一歩下がって撮ってみる方法もあります。
一歩下がって撮ると、画面に入る範囲はどうなるでしょう? そう、一歩下がった分だけ、画面に入る範囲が広くなりますね。
現場で撮っていると、つい寄りすぎてしまうことがあります。
- 被写体を大きく撮るため
- あるいは、余計な要素が画面に入らないようにするため
にそうなりやすいのですが、シーンによってはこれらの行為がマイナス方向に働くことがあります。
「画面に余裕がない」「画面が窮屈にみえる」写真になってしまうことがあるのですね。
そこで一歩下がって撮ると、余白に余裕ができ、このマイナスを解消できるというわけです。
これももちろんシーンによりますが、「一歩」だけで印象が大きく変わる可能性がありますので、やってみる価値は十分にあるかと思います。
「ファインダー視野率」について
画面に写る範囲を考える際は、「ファインダー視野率」について知っておくと便利です。
カメラのファインダーを使って撮影していると、カメラによっては「ファインダーでみた時よりも広い範囲が写っている……」ということがあります。
これは「ファインダー視野率」が影響しています。ファインダー視野率については、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
今回は、感覚のギャップについての話、そして「一歩前に出て撮ってみる」あるいは「一歩さがって撮ってみる」方法についてお届けしました。
よかったら参考にしてみてください。