写真を撮っていると、時々、不思議に感じることがあります。
それは現場で「これがベストだ!」と思って撮った構図でも、家に帰ってあらためて見てみると、全く違った感想を持つことがあります。
現場で試行錯誤して最適な答えをみつけたはずなのに、「ああすればよかった」、「もっとこうしたほうがよかったんじゃないか」といった思いが出てくるのですね。
時には「なんでこの構図をベストと思ったのだろう……」と、元も子もないようなことを思うこともあります。
こうした経験はどなたにも多かれ少なかれあるかと思います。
そこで今回は、こうした現象(と、ここでは呼んでみます)を極力減らすための方法を考えていきます。
現場と家でみるのとでは感覚にギャップがある
この現象に遭遇するたびにいつも思うのは、「現場で見る感覚」と「家で見る感覚」には大きな違いがあるのではないかということです。
いつも不思議だなあと思うのですが、デジタル一眼の場合は、撮った写真を家に帰ってから初めてみるわけではないんですよね。
背面にモニターがついていますから、撮ったその場(現場)でどんな感じで写っているのかの確認ができます。
つまり、現場では、それをみて「よし、オーケー!」と思っているはずなんです。
だけど、家に帰ってあらためて見てみると、一瞬で「あれ?」と思ったり「この構図、なんだかいまいちじゃないか?」と思ったりする。これは本当に不思議だなあと思います。
感覚のギャップ
この現象について考えている時に、ちょっとした法則のようなものがあるようなことに気づきました。
それは
- 現場で「これ以上はない!」と思って撮った構図が、家に帰ってからみたら、いまいちに感じる
ことはよくありますが、その逆はめったにないということです。
つまり、
- 現場でいまいちと思って撮ったものが、家に帰ってみたら「これ以上はない!」という出来にみえる
ことは、ほとんどない(あるいは皆無)ということです。
そう、現場と家とで、プラスとマイナスの評価がひっくり返るわけではないのですね。
おそらく、家で見るときは、「現場で撮ったときの感覚よりも何割かマイナスになる」というのが正しいところではないかと思います。
逆にいえば、現場では「感覚が何割増しかになる」といったところでしょうか。
どちらの感覚に合わせるのか
「現場でみたときの感覚」と「家でみた時の感覚」。これらは言うまでもなく、どちらも自分の感覚です。
が、写真として仕上げるのであれば、「その写真をみる人の感覚」に寄せる必要があります。
つまり、自分では「この構図、現場ではもっとよくみえたんだ!」と思っていても、自分以外の人にとっては「その写真」からしか知ることができません。
写真に写っているもの、あるいはその写真自体からしか感じることができないわけですね。
それは、自分の「現場でみたときの感覚」と「家でみた時の感覚」とでいえば、後者に近い感覚です。ですので、自分の中に基準をつくるとしたら、こちらになるでしょう。
となると、必要になってくるのは「現場でみたときの感覚」と「家でみた時の感覚」との間のギャップをどう埋めるかという点です。
次回はこの点について、より深く考えていきます。