写真の撮り方の1つに「被写体のすすむ方向や目線の先に空間をつくる」というものがあります。
というわけで今回は「被写体の前方の空間」についてみていきます。
進行方向や目線の先に空間をつくる
被写体のすすむ方向や目線の先に空間をつくると、次のようなメリットがあります。
画面が自然にみえて安定感が出ます
被写体のすすむ方向や目線の先を広くとると、画面全体が自然にみえて安定感が出ます。
これは大きなメリットで、構図に迷った時はこれをやっておけば、まずはずれることはありません。画面の安定感が一気に増します。
また、空間が広くなるほど画面に余裕ができ、全体にゆったりとした印象になります。
想像の余地ができます
目線の先を広くとると、その先にあるものを想像させる画面になります。
写真に限らず、「想像の余地がある」のは創作物における大きなポイントで、こうしたフックをいれることで画面がよりユニークなものになります。
画面に動きが出ます
被写体がすすむ方向を広くとると、画面に動きが出て「前にすすんでいる」という印象が強くなります。動いている被写体を撮るときにおすすめの手法です。
被写体が止まっていても、前方を広くとると「これから起こること」「これからどう動くのか」を感じさせる写真になります。今にも動き出しそう―そんな写真になれば大成功です。
「横」以外でも、被写体の前方の空間を広くとることができます。この写真では、手前の空間を広くとっています。空間は「縦」方向でもできる、というわけですね。
空間を広くとらない場合の考え方
さて、ここまで「被写体がすすむ方向や目線の先に空間を広くとる」効果を紹介してきました。写真の基本ともいわれています。
が、あえて「空間を広くとらない」撮り方もあります。その場合の考え方をみていきましょう。
ディティールを強調するため
動いている被写体の前方を広くとらないと、その被写体のディティールが強調されます。
空間を広くとった時に比べると「動き」は出にくくなりますが、見る人の目が被写体に集中しやすくなります。被写体の姿や形がグッと目立つようになる、というわけですね。
画面に緊張感を出すため
被写体の前方を広くとると、画面に余裕ができてゆったりとした印象になります。が、この写真のように空間をつめると、画面全体が引き締まった印象になり、緊張感が出ます。
画面に不安定さが出て、独特の印象になります。
過去を表現する
進行方向の空間を狭くして後ろを広くすると、「すでに通り過ぎた」という印象の写真になります。
前方の空間を広くとった写真が「これからすすんでいく」「その先に広がる世界」をイメージさせたのに対して、反対の印象になります。
「これから先に進む」よりも「ここまで進んできた」という雰囲気になります。
このように、ねらいによって「空間を詰める」選択肢も出てくるということですね。
まとめ
今回は、はれときどきカメラが撮った写真をもとに「被写体の前方の空間」について解説しました。
「被写体の前方の空間を広くとる」のは写真の基本としてよく知られている方法ですが、「何を表現したいのか」によって空間を詰めるという選択肢もでてきます。
よかったら参考にしてみてくださいね。