「ズームレンズの望遠側」や「望遠レンズ」を使うと、遠くにあるものを大きく撮ることができます。
それらで撮った写真は、面白いところに「大きさの錯覚」が生まれます。
大きさの錯覚
実物よりも「大きい」ような気がしてくる
たとえば、この鳥の写真をみてみましょう。
「ツグミ」という鳥ですが、画面内にかなり大きく写っています。
そしてもう1枚はこちら。
これも同じ「ツグミ」の写真ですが、2枚の写真をみていると、実際の大きさがよくわからなくなってきます。
特に2枚目のような写真をいくつもみていると、ずいぶんと大きな鳥に思えてきます。
「鳥を大きく写したもの」という認識はあっても、実際のスケール感がわからなくなってくるんですね。
みえかたの違い
つづいて、こちらの写真をみてみましょう。
昆虫をクローズアップ撮影したものですが、先ほどの鳥のように「ずいぶんと大きな虫だなあ」とはみえないと思います。
そしてもう1枚。
セミが脱皮しているところですが、こちらの写真も「ずいぶんと巨大なセミだなあ」とはみえないと思います。
これが写真の面白いところで、大きく写したときに「巨大にみえる」こともあれば、「小さいもの」というイメージを残したままクローズアップしたようにみえることもあります。
何が大きさを決めるのか
余白
大きさを決める1つのポイントは、余白の広さです。
被写体が画面に大きく写されているほど、実際のサイズも大きいような気がしてきます。
たとえば、この写真をみると、そこそこ大きい鳥のようにみえてきます。
・・・が、余白が広くなると「それほど大きくないかも」という気がしてきます。
このように、余白の広さによって「実物の大きさのイメージ」が変わってきます。
大きさをイメージできるものを入れる
また、余白にプラスして、大きさをイメージできるものを入ると、サイズのイメージがしやすくなります。
上で紹介した昆虫のクローズアップ写真は「広い余白」にプラスして「小花」という比較物が入っています。
いかにも「小花らしい形をした小花」なので、クローズアップしても「小さいものだな」ということがわかります。
それによって、昆虫の小ささがイメージできる、というわけです。
また、セミの脱皮の写真でも、背景(余白)の部分をかなり広くとっています。
それに加えて「セミの抜け殻」という大きさを想像しやすいものが入ることによって、セミのサイズを錯覚しにくくなっています。
このように、「必要以上に大きく見えないようにする」ことも、知っておくと便利な方法です。
おしまいに
今回は、大きさの錯覚についてでした。
実際に撮っている時も、ファインダーやライブビューをずっとみていると、実物の大きさを錯覚してしまうことがあります。
その場合は、何枚か「肉眼で見たサイズに近いショット」を入れるようにすると、実物の大きさを錯覚しにくくなります。
よかったら参考にしてみてくださいね。