前回の記事では「正解という言葉の解釈」と題して、「正解」という言葉をどうとらえるかについてお届けしました。
今回はその続きです。
解釈のパターンを増やす
写真を撮ること・見ることに慣れてきたときに気をつけたいことがあります。
それは、「タイプ分け」をするだけでその写真の解釈を終えてしまうことです。
たとえば、なんらかの写真(あるいは作品)をみたときに、パッとみた印象だけで
- あ~、これはこういうタイプの写真ね。はい、感想は以上。
と、決めつけてしまうようなケースですね。
こうした行為は「バッサリと言い切っている」といえば聞こえはいいかもしれませんが、場合によっては「ろくにみもしないで決めつけている」ように映ってしまうこともあります。
タイプ分け(分類)をするということ
いろいろな写真をみていると、確かにある種のパターン、あるいはタイプがあるように感じることがあります。
そうすると、みるタイミングによっては「ああ、またこのタイプの写真(作品)かぁ」と感じることもでしょう。
特にその時期に流行っているスタイルがあるときは、その傾向が顕著ですね。
ですが、先ほど例に挙げた、写真(あるいは作品)をパッとみた印象だけで
- あ~、これはこういうタイプの写真ね。はい、感想は以上。
と、決めつけてしまうようなケース。
――これってよく考えると、ただ「分類(タイプ分け・ジャンル分け)をしているだけ」なんですね。
本でいえば、表紙だけをみて「はい、これはミステリね。以上」「はい、これはグルメの本ね。感想終わり」と言っているような感覚です。
そう考えてみると、どうでしょう。
なんだか、とってもまぬけな感じですよね。
感想は「どの時点のものなのか」が大切
そう、写真をみた瞬間に「この写真は、こういうタイプのものだな」と感じるのは、あくまでその人の感想ですので決して間違いではありません。
ですが、あくまでその感想は、その時点のものであり、決して踏み込んだものではないのですね。
「本」を例にあげてみましょう。
本の場合、同じ人が読む場合でも、
- 表紙だけをみた時点での感想
- 読み始めた時点での感想
- 途中まで読んだ時点での感想
- 最後まで読んだ時点での感想
と、それぞれの時点で持つ感想や解釈は変わってきます。
わかりやすいところでいえば、こんなタイプの本がありますね。
- 表紙をみたときは、こういう作品かと思っていたけれど、読んでみたら全然違っていた
- 最後まで読んだら、ガラッと印象が変わった
これらは「表紙をみた時点」ではわからないことであり、その時点では持ちえない感想です。
「最後まで読んだ時点」で、はじめて持つことのできる感想なんですね。
表紙をみただけで「はいはい、これはこういうジャンルの本ね。感想終わり」と切り捨てていては、決してみえてこない部分です。
このように本を例にするとわかりやすいのですが、私たちは多くのジャンルでこのようなことをついやってしまいます。
次回に続きます。