前回は「写真のトリミングについて考えてみよう」と題して、トリミングの謎についてお届けしました。
前回の記事では「現場ではベストだと思ったフレーミングが、家でみると甘く感じられるのはなぜ?」という点について原因を考えていきました。
今回はその続きです。
サイズと枠の問題
現場ではベストだと思ったフレーミングが、家でみると甘く感じられるのはなぜ?――つづいてはサイズと枠の問題について考えてみましょう。
サイズ
撮った写真をカメラのモニター(あるいはファインダー)でみるときと、パソコンのモニターでみるときの大きな違いに「画面のサイズ」があります。
カメラのモニター(あるいはファインダーからみえる像)は、パソコンのモニターに比べると、かなり小さなサイズになっています。当然、同じ画像でも、みえるサイズが変わってきます。
そう、同じ画像でもサイズによって受ける印象が変わる――これが1つ目のポイントです。
具体的には、
- 画面サイズが小さい → 写真の全体がみえやすい。全体のバランスを意識しやすい。
- 画面サイズが大きい → 写真の全体よりも、まっすぐに画面をみた部分(主に中心部)に目がいきやすい。細部にも目がいきやすい。
といった印象を受けやすい傾向があります。
つまり、目が行きやすい部分に違いがあるので、「写真をどうとらえるか」に違いが出るのですね。
この考え方をする際に重要なポイントは、画面サイズが大きい(パソコンのモニターでみる)時のことです。
この場合は、まっすぐに画面をみた部分(主に中心部)に目がいきやすい傾向があるため、画面の中心部にインパクトを出すフレーミングをしたくなる感覚を持ちやすくなります。
目がいく部分を強くするため、まわりをカットしたくなるわけですね。これがサイズに関する問題です。
枠の問題
つづいては、枠に関する問題です。
同じ写真でも、そのまわりにある枠によって受ける印象が大きく変わります。
たとえば枠の色。写真のまわりの枠が黒い場合と、白い場合ではみた感じの印象がずいぶんと変わります。
あるいは枠の太さや範囲。同じ写真でも、まわりの枠が細いものと太いものでは、受ける印象に違いがあります。
この項目で何をいいたいのかというと、カメラのモニターとパソコンのモニターとでは、写真のまわりにあるものが違うということです。
たとえば、パソコンのフォトビューアで次のようにみえたとします。
カメラのモニターで、この表示(まわりの枠の色や太さ、バランスなど)と、全く同じようにみえることはまずありません。
色の違いや枠の太さ、バランスなどが大きく違うでしょうし、写真以外の部分(余白)の比率も違うがあることでしょう。
また、モニター自体の枠にも違いがあることでしょう。
そう、カメラのモニターとパソコンのモニターでは、写真のまわり(枠)に大きな違いがあるのですね。
そのため、同じ写真でも受ける印象が変わり、トリミングの感覚が変わるわけですね。
次回に続きます。