前回の記事では「セオリーに自分なりの理由をプラスしてみよう」と題して、写真の垂直・水平ラインについてお届けしました。
今回はその続きです。
どのラインをまっすぐにするか
前回の記事では
- 垂直・水平をきちんとすると画面が安定しやすくなる
- 縦と横のラインが混在しているときは、基準となる線を決めてみよう
- ラインにゆがみがあるときも同様に考える
といった内容のことをお届けしました。
今回の「どのラインをまっすぐにするか」という点について、いくつかの例を挙げながら考えていきます。
目がいきやすい部分に注目する
こちらの写真は電車を撮ったものです。窓、ドア、ボルト、数字の「5」の縦線部分など、縦のラインがいくつもあります。
このようなときは、画面の中で目がいきやすいラインをまっすぐにする(この場合は垂直にする)と画面が安定しやすくなります。
今回の写真の場合でしたら、
- 数字の「5」の縦ライン
- 手前の窓の縦ライン(あるいは、数字の「5」に重なっているボルトの縦ライン)
あたりは目がいきやすい部分でしょう、
また、この写真でいえば画面左のドアの縦ラインにも注目したいところです。
画面端に近い位置にある長いラインは、垂直や水平が気になりやすい部分です。写真の画面端の辺と比較しやすい位置にあるので、傾いていると気になることが多いのですね。
ですので、こうした位置にあるラインもできるだけ垂直や水平に近づけるようにすると、画面に安定感が出やすくなります。
もとからゆがんでいるもの
次は人工物ですが、もとからゆがみのあるものの写真です。
この写真に使われているプレートは、一見すると、長方形のようですが微妙に形が歪んでいます。また、バケツ部分の配置もわりとアバウトできっちりとした形にはなっていません。
そのため、プレートの横のライン(この場合は上のライン)を水平にすると縦ラインが傾き、縦を基準にすると横ラインが傾くという、なかなか難しい被写体です。
こうした場合は、不自然に傾いたラインが入らないように撮るのがアイデアかと思いますが、上の写真のように全体を撮りたい場合もあるかと思います。
そうした場合は優先順位を考えます。縦と横、どちらを基準にしたほうがメリットが多いのかを考えるのですね。
すると、この写真の場合は横を基準にしたほうがメリットが多いことがわかります。
横を基準にすると
- プレートの上下の長いラインが、わりと水平に近くなる
- 最も目立つぬいぐるみ(この場合は黒)の両目の位置が水平に近くなる
- バケツの横ラインがわりと水平に近くなる
といった形になります。
縦を基準にすると、これらがすべて傾いてしまい、すわりのわるい感覚になってしまいます。
方法としては、最初に挙げた「不自然に傾いたラインが入らないように撮る」のが最も画面が安定しやすい方法かと思いますが、全体を入れる場合はこのように考えます。
背景のラインを利用する
建物や人工物で垂直・水平ラインを出すのがむずかしい場合は、背景のラインを利用するという方法もあります。
この写真は「向こう岸」のラインを横ラインと考えて、この部分が水平になるように撮っています。
画面内で目がいきやすい部分、目立つ部分に注目するという方法ですね。
迷ったときは思いつくパターンをすべて撮っておこう
今回は写真の垂直・水平ラインについて「どのラインに注目するか」という点についてお届けしました。
実際に撮影をしていると、どのラインを基準にするかをその場では判断しにくいこともあります。
その場合は、デジタルカメラの「枚数を気にせずに撮れる」という利点を生かして、思いつくパターンをすべて撮っておきましょう。そして後からベストなものを選ぶようにすると、いい勉強になりますよ。
その際には「なぜこのラインを基準にした写真がよかったのか」を考えてみましょう。よかったら参考にしてみてください。