建物や人工物を撮る際には、水平・垂直に気をつけると画面が安定しやすくなります。
たとえば上の写真のようなケースでは、画面内の縦のラインや横のラインが傾かないように撮ると、画面が安定してみえます。
縦のラインは垂直に、横のラインは水平になるように撮るわけですね。
つまり、「肉眼で見て、あるいは体感的に垂直・水平と感じるものを、その通りに撮る」とそれらしくみえるということです。
が、そうはいっても、被写体によっては、その通りにいかない場合があります。
どのラインをまっすぐにするか
たとえば、建物の場合でしたら、本来はまっすぐのはずのラインが
- 経年や立地などの原因で、もとからゆがんでしまっているもの
- レンズの性質上ゆがんでうつってしまうもの
があります。
また、撮影する角度によっては垂直・水平をキープできない場合もあります。
こうしたケースでは、垂直ラインと水平ラインの両方を得るのは難しいものがあります。ですので、どちらか一方にしぼって考えます。
縦か横の線をまっすぐにする
たとえば次の写真をみてみましょう。
建物の写真ですが、画面の中にはいくつもの縦と横のラインがあります。壁、窓、雨どいなど、いろいろなラインがありますね。
こうしたケースでは、すべてのラインを垂直・水平にあわせるのは難しいものがあります。そこで出てくるのが「縦か横の線をまっすぐにする」という考え方です。
その際には、「画面の中の目立つ・あるいはわかりやすいと感じる線を基準にする」と考えます。
すると、上の写真の場合でしたら、たとえば
- 窓枠の縦ラインを垂直にする
- あるいは壁の横ラインを水平にする
といったアイデアが浮かびます。
もちろん「画面の中の目立つ、あるいはわかりやすいと感じる線」は人それぞれですから、上の例とは違う線を挙げても問題ありません。
このように考えて撮ると、画面に安定感が出やすくなります。
ここで先ほどの写真をもう一度みてみましょう。
どのラインを基準にするか
この写真は先ほど挙げた「壁の横ラインを水平にする」というアイデアで撮っています。
窓の縦ラインにしなかったのは、
- 画面を支配しているのが家(壁)であること
- 壁という存在の中に窓がある(ベースである壁の存在が重要)
という考え方からです。
もし、これが窓が画面を支配している(と考えて撮った写真)であれば、窓を基準にした可能性もあります。
つまり
- 垂直・水平を考える際は「画面の中の目立つ、あるいはわかりやすいと感じる線」を基準にする
- そのラインを基準にする理由を持つ(自分なりに考えてみる)
わけですね。
自分なりのセオリーを作っていく
今回の記事で紹介したのは、「垂直・水平をきちんとすると画面が安定しやすくなる」というセオリーに自分なりの理由をプラスしてみようという考え方です。
ただ「そういうセオリーだから」と撮るのではなく、「なぜそうするのか」という理由を持って撮るということですね。こうした点を押さえながら撮影をすると、写真を撮るのがよりたのしくなりますよ。