カメラでは「1段絞る」「1段開く」という言葉がよく使われます。
たとえば
- このレンズは、開放から1段絞るといい
- この場面では、絞りをもう1段開くといい
といった感じで、本やネットでもよく使われています。
が、初心者さんにとって、いまいち理解しにくい言葉かと思います。
というわけで今回は、「1段絞る」「1段開く」についてみていきましょう。
そもそも「段」とは何か
1段絞る、1段開くの「段」は、ざっくり言うと次のようになります。
つまり、F値を大きくすることを「○段絞る」、F値を小さくすることを「○段開く」といいます。
段(F値のならび)をみてみよう
ならびを1段ずつ書いてみます。
F1.4 | F2 | F2.8 | F4 | F5.6 | F8 | F11 | F16 | F22 | F32 |
これが段(F値のならび)です。
このならびで、1つ大きくすることを「1段絞る」といいます。2つなら「2段絞る」です。
逆に、1つ小さくすることを「1段開く」、2つなら「2段開く」といいます。
スタート地点はどこでもOKで、F2からF2.8でも、F22からF32でも「1段絞る」といいます。
「絞る」「開く」ってどういう意味?
「絞る」「開く」という言葉は、カメラとレンズのしくみから来ています。
レンズから入ってくる光を調整する「絞り羽根」という機構があります。
絞ると真ん中の穴が狭くなり、光が入りにくくなります。開くと穴が広くなり、その分だけ光が入りやすくなります。
つまり、
- 絞る=F値を大きくする=光が入りにくくなる
- 開く=F値を大きくする=光がたくさん入る
というように、それぞれが関連しているということですね。
1段絞ると何が変わる?
1段絞ると、次のような違いがでます。
- ピントが合って見える範囲が広くなる
- 明るさが半分になる
どういう場面で使うかというと、たとえば冒頭の写真をみてみましょう。
この写真をみると、ねこの手前と奥がボケています。
ここで絞って撮る(F値を大きくして撮る)と、ボケている範囲が狭くなり、ピントが合っているように見える部分が広くなります。
が、カメラは1段絞るごとに光の量が半分になっていきますので、絞る前に比べてシャッターを切れるまでの時間が長くなります。
つまり、ピントが合って見える範囲が広がる代わりに、ブレやすくなるというわけです。
1段開くと何が変わる?
今度は「1段開く」についてみてみましょう。
1段開くと次のようになります。
- ピントが合って見える範囲が狭くなる
- 明るさが倍になる
どういう場面で使うか、冒頭の写真を例にみてみましょう。
1段開くと、今よりもピントが合っているように見える範囲が狭くなります。つまり、前よりボケます。
上の写真では、ほぼねこ全体にピントがきていますが、開くとピント位置を中心にボケる範囲が広がります。
また、1段開くごとに光の量が2倍になるので、シャッターが切れるまでの時間が短くなります。つまり、ブレにくくなるということですね。
被写界深度
ちなみに、ピントが合っているように見える範囲のことを「被写界深度」といいます。
ピントが合って見える範囲が広いことを「被写界深度が深い」、狭いことを「被写界深度が浅い」といいます。
まとめ
今回は「1段絞る」「1段開く」についてでした。この表現のほかに「絞り値を1段大きくする、小さくする」という場合もあります。
「段」はよく使われる用語ですので、知っておくと便利ですよ。