カメラや写真関連の本の中には、具体的なノウハウやテクニックではなく「撮る際の考え方」を中心に書いた本があります。
たとえばこちらの本。
技術評論社からでている【「いい写真」はどうすれば撮れるのか?】です。
副題に「プロが機材やテクニック以前に考えること」とあるように、まさに「写真を撮る際の考え方」に重点を置いて書かれた本です。
カメラ・写真関連の本を探していると、こうした「考え方を書いた本」がいろいろとみつかります。
……が、実際に読んでみると、当たりはずれ(自分にとって合うか合わないか)が大きいように思います。
というわけで今回はこうしたタイプの本について書いていきます。
なぜ当たりはずれが大きいのか
まずは「考え方を書いた本」は、なぜ当たりはずれ(自分にとって合うか合わないか)が大きいのかについて考えていきましょう。
ターゲット
本は、基本的に「どの層の読者を対象にするか」というターゲットを想定して書かれています。
たとえばデジタル一眼の入門書でしたら、カメラを買ったばかりの人や初心者の方を読者の対象(ターゲット)として書かれています。
そのため、カメラに慣れてきた人や中級以上の人がそれを読むと、内容が物足りなかったり「知っていることばかりだよ!」と感じたりすることがあります。
なぜなら、その本が対象としている読者ではないからです。
が、具体的なノウハウやテクニック系の本の場合は、タイトルや表紙をみれば、おおよそ「自分がその本の対象かどうか」がわかります。
たとえばストロボにまったく興味がないのに、「よし、ストロボの本を買おう!」とはなかなかなりません。自分を対象にした本ではないことがわかっているからですね。
が、「考え方を書いた本」が難しいのがこの部分です。
自分が対象だと思えてしまう
ここで冒頭に挙げた本をもう一度みてみましょう。
タイトルは 「いい写真」はどうすれば撮れるのか?です。
このタイトルから「どんなターゲットを想定しているのか」を考えてみましょう。
すると、ターゲットがものすごく広いように感じることに気づきます。
たとえば、ノウハウやテクニック系の本でしたら、タイトルや表紙をみればおおよそのターゲットがわかります。
- 「はじめての○○」という本 → このジャンルの初心者向けかな?
- ストロボ関連の本 → ストロボに興味のある人向けの本かな?
- CGみたいな写真をつくる本 → こういう補正をやりたい人向けの本かな?
なんとなくではありますが、自分に向いているかどうかを判断できるわけですね。
……が、先ほどの【 「いい写真」はどうすれば撮れるのか?】は、どうでしょう。
考えてみると、これって、写真を撮るほとんどの人があてはまってしまうんですね。
写真の経験や撮りたいジャンルも関係なく、あてはまってしまう。さらに副題が「プロが機材やテクニック以前に考えること」ときていますから、「機材も関係ないのか」と思えてしまう。
本来はその本がターゲットにしている層があるはずなのに、それがみえないのですね。
そのため、読者の対象じゃない人にまで「自分がターゲットだ」と感じさせてしまう。自分がターゲットでなければ、読んだ時に「はずれ」と感じる確率が高くなります。
「考え方を書いた本」はこうした傾向があるので、選ぶときは慎重になる必要があります。
次回に続きます。